ホビーとロングランブログ

ホビーやランニングの話題や、お題をつづっていくブログです。別館の活動報告も。

今日の『らんまん』と田邊教授を忘れない。

朝ドラ『らんまん』で田邊教授がこの世を去りました。
権力闘争や人間関係が影響し、教授をやめさせられ、植物学の道を断念した教授。
キツイ性格やトラブルが目立つ人ではありましたが、今自分が思い出すのはキツイ性格ではなく、登場直後のあるシーンです。

 

教授室に飾ってある牡丹の花を見た万太郎は、花を借りて絵を描きます。田邊教授はその出来栄えを絶賛。笑顔になった万太郎は、ヒロインの寿恵子に牡丹の絵をプレゼントしました。
「牡丹を授けられた者は、見知らぬ旅に出るんです」
寿恵子は『南総里見八犬伝』の八犬士たちが牡丹のあざを持っていたのを連想し、新しいことへの挑戦を決意します。それが後に、万太郎との結婚につながっていくのです。

 

もし教授の部屋に牡丹の花が無かったら。
教授が絵の出来をイマイチだと言ったら。
万太郎は自分の能力に自信があっても寿恵子に絵を見せなかったはず。

 

あの場面の教授は、間違いなく純粋な気持ちで絵と万太郎をほめていた、と思うのです。
万太郎の植物学者としての活動の始まり。寿恵子との結婚。牡丹の花は間違いなくきっかけの一つでした。
今思えば、田邊教授は自分でも気付かぬうちに、牡丹の花を授けて二人の旅を後押していたのです。屈託のない笑顔で。

 

田邊教授は『キツイ性格の嫌なキャラクター』ではなかった。
物語の主人公たちの心の中で、そして私の心の中で、田邊教授は忘れられない人になりました。